ウガンダには、井戸設備が

6万基ほどあるそうだ。

そのうち、1万基が壊れているとも

3万基という話もあるそう。

 

壊れた井戸設備は使われることなく、

中にはどこから流れてきたかわからない水で

暮らしている人々も少なくない。

 

こまれでも、移動中、茶色く濁ったどぶのような水で

体を洗っている人たちを何度も見てきた。

日本に住む自分からすると、

それだけで病気になってしまいそうだ。

 

壊れた井戸設備を修理すれば

きれいな水にありつけるのに

なぜそうならないのか。

修理費用が工面できないというのが

最大の理由だそうだ。

 

最初の井戸掘りとポンプの設置は

国や自治体、国際NGOなどが行う。

あわせて、水利委員会などを立ち上げて

維持管理ができるように定期的に管理費等の

徴収を行うことが推奨されている。

ところが、人間というのは浅はかで

集めたお金をちょろまかす人がでてくる。

 

ほかにも集金方法に不公平感が出たりして

維持管理費が適正に徴収できずに

壊れたらそのまま放置することになるケースがある。

 

お金にまつわる課題は大きい。

 

その課題を解決しようと

立ち上がった人たちがいる。

 

カンパラ郊外に事務所をおく

スタートアップ起業「SUNDA」。

 

4人で創設したこの企業の代表は坪井彩さん。

 

国際貢献と聞くと、NGOかNPOかと

思いがちだけど、坪井さんはビジネスで

地域の社会課題を解決を目指す社会起業家。

大学院まで進んだバリバリの理系で

日本では大手家電メーカー(業態は変わりつつあるけど)で

勤務経験がある。

ユニットのブログラムから電子回路まで、ユニット内部のことは把握しているそうだ。さすが理系思考!

彼女たちが作っているのは、

従量課金制の井戸ポンプに設置する

ユニット(以下、SUNDAユニット)。

手動式ポンプに設置するオレンジのユニットがSUNDA

簡単にいうと、井戸ポンプにSUNDAユニットを設置すると

交通系ICカードのように、チャージされた分だけ

井戸水がくめるように設計されている。

工場内のラボ

SUNDAユニットが設置された井戸を利用する住民には

ICタグを配布。タグに固有の番号がふられていて

そこに携帯等でチャージする仕組み。

意外かもしれないけど、

アフリカってモバイルマネーの普及が

日本よりも進んでいるかもしれない。

ここ3年間で行ったアフリカのどの国も

その印象が強い。

チャージされたICタグをSUNDAユニットの

スロットに差し込んで、井戸ポンプのハンドルを

動かせば水が出る仕組み。

 

チャージしているお金がゼロになれば

ポンプのハンドルを動かしても

水は出てこない仕組みになっている。

これは、ユニット内部に

通信ユニットが入っていて

ICタグを挿入すると通信を行い、

ICタグ所有者に

いくらのチャージが残っているかが

わかるためだ。

 

井戸設備の維持管理費は

利用者のチャージした一部が

自動的にプールされる仕組みになっている。

それは、SUNDA本部でも

確認ができるため、

不正や不平等が起こりにくい。

 

井戸設備が壊れたときも

速やかに修理ができるため

水へのアクセスに持続性が生まれ

住民にとっても安心感がある。

設置された現場にいくと

水を汲みに来る人が多いことに

驚かされる。

 

そのほとんどが

2〜3歳から小学生くらいだろうか。

それぞれが、ICタグに付いている穴に

糸などに通して首からぶら下げている。

手ぶらで来ている子はいない。

どれだけ小さくても、ポリタンクを

引きづりながらやってくる。

 

自分の順番がくれば

ICタグをユニットに挿入し

水をタンクにいれていく。

 

その一連の流れが当たり前のように

できている。

トラブルがあったようで思案している坪井さん

坪井さんに聞くと、

ウガンダ内でSUNDAユニットが

設置できている井戸設備は

300程度あるそうだ。

 

1つの井戸に対して

300人が利用しているとするば

9万人が利用していることになる。

 

井戸設備の管理問題は

近隣諸国でも起きていることだと

調査を進める上でわかってきた。

 

そのため、今年からは

ケニアやタンザニア、ルワンダなど

近隣諸国にも積極的に

働きをかけを行い、

水利用の課題があるところは

国を問わずに利用していただけるように

進めていきたいそうだ。

 

今回、坪井さんには、1.5日ほど

同行させてもらって話を聞いた。

 

その中である一言に

彼女の覚悟の強さを感じた。

「私はこの事業に人生を賭けている」

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