
テラルネッサンス同行2日目。
今日は、収穫できた作物を保存する倉庫の見学から始まる。
農場も大きかったが、倉庫もでかい。
乾燥した大地にポツンとあるものだから、ガードは厳重。
警備員も24時間体制で見張りを行っている。
1日1食が食べられるかどうかという人々が
少なからずいる場所で
ここに野菜があるとわかれば、
狙いたくなるのもわからなくはない。
それを守るためにもいろんな人員や仕組みが必要になる。
出荷の日を待つ玉ねぎ
中に入ると、玉ねぎが島分けされて
ごろんところがっている。
ウガンダの玉ねぎは日本のよりもかなりこぶり。
しかもほとんどが赤い玉ねぎ。
出荷時期を待って、現金に変えるそうだ。
島分けされているのは、
支援者を5つのグループに分けているため。
倉庫の端には、大きな袋が並んでいる。
なかにはメイズ(とうもろこし)の身の部分や
お豆さんなどが保管されている。
昨年収穫したもので次の作付に使うものを保管
メイズの袋を開けてもらったが、ネズミ対策で
袋は3重になっていた。
かなりしっかりと管理されている。
このメイズは雨季に身の部分をタネとして
畑に蒔く。
昨年は10kgのメイズを蒔いたところ
およを100倍の1トン収穫できたそうだ。
その数字だけで驚かされる。
灌漑施設を作り、専門家の農業指導のもと
手を抜かずに育てれば、
これだけの作物が収穫できることは
彼らとっても驚きだったのではないか。
10kgをタネとして蒔いたところ収穫量は1tに。
こうした収穫の喜びは、
支援者たちの意識も変えていくそうだ。
倉庫の見学を終えると
支援している1組のグループがやってきた。
ここでミーティングを開くという。
その前に、テラルネッサンスが住民のための行っている
マイクロファイナンスに似た制度の現金徴収が始まる。
ミーティングの様子。シートの真ん中にあるのが金庫
最脆弱層の人は、銀行からお金を借りることはできない。
しかし、どうしても出費が必要だったり、
事業のために何かを購入するなど、まとまったお金が
必要なときもでてくる。
それを毎月、グループで少額ずつ出し合って
現金をプールし必要な人に貸出す仕組みようだ。
みなさんの通帳。英語ができない人がほとんどか。
3つの南京錠で厳重に閉じられた金庫を開けて
現金を徴収して通帳に記入していく。
みんなが見ている前で行われるから
ごまかしようがない。
こころなしか嬉しそうに通帳を見ている人もいる。
じっと通帳を眺めていた女性
農作業をすることのモチベーションになればいいなぁ。
立ちあがろう!再び!
その後、今回のミーティングの本題が始まる。
このグループが最近農場に来ていないという。
何が課題なのか、一人一人が意見を言う。
大地を踏み締める足。たくましい。
現地の言葉だから全くわからないが、
ネガティブなことを言っているのもわかる。
それをテラルネッサンスのスタッフは
じっと聴きながらときどき説明をする。
2時間近く話をしたのだろうか
意見が出尽くした感があったころ
田畑さんの右腕として活躍する
番頭のミッシェルが、
彼らを鼓舞し始めた。
カラモジャ事業の番頭さんミッシェル
「きちんと育てて収穫ができれば
まとまった現金収入が見込めるんだ。
もう一回立ち上がろうよ!
やろうよ!」
力のこもった声をやさしい笑顔で包みながら
彼が檄を飛ばした後、
最後に田畑さんが話しはじめた。
現地語ー英語と通訳が続く
「昨年、みなさんは多くの作物を収穫して
その喜びとともに食糧と現金収入を得た。
これからきちんと育てていけば
収量はどんどん増えるはずです!
乾季の今の時期、カラモジャ地域は
草木には非常に厳しい褐色の大地になる。
あるとき、スタッフがバスに乗っていて
乗客が「あれ?この時期になぜあそこだけ緑があるんだ」
そう自分たちの農場を指して言ったそうです。
カラモジャの乾燥地帯で乾季に作物なんてできない。
いろんな方面からそう言われ続けてきたこの大地に
緑が広がっているという事実。
支援者の皆さんは農業専門家の指導のもと
他の人にはないスキルを今身につけていっているんです。
これは今後役立つものになるはずです。
今は苦しいけれど
収穫の時期を目指して昨年の成果を噛み締めながら
がんばっていきましょう!」
というような内容のことだったと思う。
(英語が苦手なので、推測の部分もあるけど
田畑さんから日本語で受けたレクチャーを踏まえると
大きくはずれないはず)
支援を受けている人たちの顔色は変わった。
だれからともなく拍手がおこり、
皆の気持ちに再び火がついたようだ。
農場を通じてエンパワメントを目指す皆さん
こうしたことを何度も何度も丁寧に
続けてこられたそうだ。
本当に頭が下がる想いだ。
この農場がメイン道路に面していることもあってか
関心をもつ政治家や国際援助団体も出てきているという。
「全く無関心だったこの国の政治家や
国際的な組織が動き出せば、
規模はさらに大きくなるだろう。
そのとき、テラルネッサンスのこの事業が
ロールモデル(見本)になるになればうれしいです!」
かっこいいなぁ、田畑さん。
こういう人にもっと光が当たる社会になって欲しい。
焼畑後の大地をポリタンクを頭に乗せて歩く女性たち