直人さんの子どもの命名式の当日。
いつもはゆっくり始まるこちらの朝が、なんだか忙しい。
昨晩は夜遅くまで話し込んでいたので睡眠不足気味。
10時から始まる式に向けて準備をし、会場となる奥さんの実家に向かう。
すでに近所の方や地域の長老の方々が集まっている。
ガンビアもムスリムが多いので、その様式に則って進むのだろうか。
式が始まると、長老の方たちがござの上に座ったまま儀式の言葉なのか、話をされている。
しばらくすると、直人さんが買ったヤギが家の裏庭に連れて行かれるのが見えた。
そちらに行ってみると、命名式にあたっての生け贄なのか、暴れるヤギを押し倒し、4人がかかりで押さえつける。
ヤギも観念したのかおとなしくなり、首を切られ神のもとへと召されていった。
家の前の庭に戻ってみると、式は終わりすでに食事が始まっていた。
直径 60〜70センチくらいの大きなボウルに入った料理を5〜6人ずつで囲んで食べている。
ボウルが空になると午前の部は終了。手土産をもって帰って行かれた。
会場は椅子が無造作に並べられていて人は常にいるけれど、午後は暑いから夕方まで小休止。
17時ごろから着飾った女性たちが集まり始める。
太鼓や踊りの時間だ。
そこに太鼓たたきの人たちが別の場所から演奏しながら会場に入ってくる。
大きな木を囲むように円が組まれて、そのなかで演奏がゆるく始まっていく。
演奏や踊りは、昨日の前夜祭で見ていたからなんとなくの流れはわかっている。
演奏する人たちが、場の空気をリードしていくが、ステージと客席というように分けられているのではなく、皆で作り上げていく。
自身のエネルギーが最高潮に達した女性たちが、真ん中に出てきて踊り出す。
盆踊りやクラブのように皆で踊るのではなく、かわるがわる出てきては踊る。
見ていると、すべて踊りが違う。
違うというよりも、決まった型があるわけではないようで、湧き出るままに踊り狂う。
ぼくにも声がかかって、真ん中に出て踊り始める。
どうだったいいのだと思って、酔拳のような踊りをしたら、皆が声を出して笑う。
1分も踊れないから、そこそこで輪のなかに戻っていくが、仲間に入れてもらったようで気持ちになり嬉しくなる。
どんな風に踊ってもいい。決まりも何もない。
周りの人たちはしらけた感じを作らずに、楽しく見守り、太鼓叩きたちが盛り上げてくれる。
だいぶ違うけれど、もし日本でいうなら、沖縄の居酒屋さんで三線の音色にあわせて皆で踊る感じだろうか。
誰でもここにいていいし、思いのままに踊っていい。
21時ごろにはお開きになったが、結婚式になると深夜まで踊り明かすそうだ。
セネガル、ガンビアを旅して、こんなタイミングよくイベントを参加させてもらえたのは、本当にラッキーだった。
明日は、セネガルに戻り、帰国に向けての準備をそろそろ始めないと。