ルーガを出発しケルという小さな村まで65km。
途中、ケベメールという町に、JICAの隊員さんが活動されているとのことで、立ち寄らせていただいた。
小学校で教員のサポートをされている矢島さんと、学校で待ち合わせをしていた。
門の所に着きましたと連絡を入れると、現れたのは、現地の衣装を着た矢島さんだった。
セネガルの女性の衣装は、とてもきれいで、現地の布を使ってドレスのような衣装を作り、頭にもコーディネートされた布を巻く。
こうした衣装を普段着として身につけていて、それがとてもおしゃれ。
まず校長先生にご挨拶のあと、1年生の教室へ。
教室に入るやいなや、子どもたちから歓迎の挨拶。
日本のように知らない大人と子どもが距離を取らないといけないようなことがなく、とてもフレンドリーで反応もダイレクトに返ってくる。
昨年のザンビアとは違って、机も壊れていることもなく、ノートや教科書が開けないほどの窮屈さもない。
勉強する最低限の環境は整っているように感じる。
6年生の教室にもお邪魔させてもらう。
年頃にかかってくる年代だから、気を遣いながら入ったが、そんな心配もなくウエルカムな雰囲気をつくってもらっていた。
こちらの一挙手一投足に笑い声が聞こえてくる。
大きなジェスチャーをすると、ドッと笑ってくれる。
とてもフレンドリーだ。
授業を見せてもらって感じるのは、子どもたちが積極的に手をあげること。
私を当ててください!というアピールがすごい。
ぼくが訪問しているからという特別感からでなく、日常的に皆が手をあげているのだと想像できる。
子どもたちが萎縮することなく、のびのびと勉強しているいるのが、見ていて気持ちいい。
知っていくといろいろと問題はあるのだろうけど、学ぶ環境が整えられていることが、失礼だけど驚きだった。
学校を後にして、次は診療所へ。
JICA隊員さんが活動されているとのことで、矢島さんと一緒に向かう。
迎えてくれたのは看護師で助産師でもある賣野さん。
聞くと、この診療所には、看護師さん1名と一定の研修を受けた看護師をサポートする立場の人が数名いるそうだ。
ここでは母子健診やファミリープランニングなどを行っいて、軽い症状なら診察もするそうだ。
建物は自体は壊れているところもなく、きちんとしている。
ただ、注射針や使い終わったアンプルなどが放置されたり、血のついたものが無造作に置かれていたりもする。
賣野さんとしては、こうした医療廃棄物の適切な処理の啓発にも力を入れているそうだが、なかなか理解が進まないという。
裏庭にでると、穴が掘られてそこに捨てられている。
ときどき燃やすそうだが、注射針などの金属類は高温で焼かないと焼け残ってしまう。
子どもなど裸足で歩く人にとっては凶器になるし、感染のリスクがないわけではない。
表からは見えにくいが、裏側にまわるといろいろと問題が見えてくる。
それは、診療所の後に連れていってもらった不法投棄の場所でもそうだった。
モノの入口は、自分たちに直接関わってくることだから整えられるけど、出口の部分はどこの国でも本当にやっかいだ。
その後は、布でカバンや服を作り販売しているお店へ。
ここはJICA隊員さんたちが、集っているお店のようで、数学の先生の資格を持つ藤戸さんもここで合流。
店の方の家族が作ってくれたチェブジェンというセネガルのソウルフードを皆で囲んでいただく。
魚や野菜を煮込み、その煮汁でご飯を炊く。
そして、煮込んだ魚や野菜をその上に置いて、みんなでつつきながら食べる。
同じ皿の飯を食うと、仲が悪くても仲がよくなりそうだ。
料理だけでなく、この食べ方も特徴なんだと思う。
ホテルまで25kmほどあるから、16時ごろに見送られながら出発した。
日本から遠い国で、誰かのためと自分のためがリンクするところで活動されているJICA隊員の人たちには本当に頭が下がる。
地元に溶け込み、同じように暮らして信頼を得て、その上で自分たちのスキルを発揮する。
素敵な活動だ。