今日は95km走るということは、Googleマップでわかっていた。
地形などを見ながら、まぁいけるやろという判断。
結局は目的地にはついたが、ついたときには勝手な主観で体力が10%を切っていた。
こんなことにならないため、余裕をもって空が赤味を帯びる7:30にロンプール村をスタート。
チャイニーズロードと呼ばれる中国が作った新しく綺麗な道を走っていく。
最初は快調だったが、ほどなくして向かい風を感じ始める。
その風がだんだんときつくなってきた。
いつかは風向きが変わるだろうと思っていたが、どんどん風は強くなるばかり。
地形図では、中盤からは標高が下がっていく、つまり下っていくはずが、上りが多いのだ。
「また上りか!全然下ってないやん!」と愚痴がでる。
砂を満載し、カバーも被せずに走るトラックが増える。
その大きなトラックが、砂を撒き散らしていく。
小さな自転車に乗る自分に、砂が散弾銃のように飛んでくる。
汗だらけの顔に砂ははりつき、バッグをカバーしているゴミ袋には砂がたまる。
そのトラックに向けて、大きな声で文句をいい発散していたが、それもだんだんできなくなってきた。
休んでいる時間はもったいないが、水だけでも飲もう。
後部につけたドリンクホルダーから1.5Lのペットボトルを取ろうとするとない。
落としてしまったようだ。
向かい風が耳元でがなりたてるため、落とした音に気づかなかった。
この暑さのなかで、次の町まで水が飲めないのか。
文句ばかりいって感謝が足りないからこんなことになるんだ。
自分のことばかりに目がいっているやん。
そんな思いが浮かんでくる。
感謝が足りない。たしかにしんどい、苦しい、トラックが悪いとか、そんなことばかり考えている。
「よし、ありがとうを100回いってみよう」そう決めた。
カラカラの喉の奥からありがとうを口づさんでいると、
いろんな人の顔が浮かんでくる。
「元気に送り出してくれた家族、応援してくれている友だち、仕事関係で旅に理解を示してくれた人たち、いろんな人の協力があって、今ここを走ることができているのに、何をいうてんねん」
言葉とは、非常に強力なもので、その言葉の方向へ思考を導いてくれる。
以前書いていたココロハチマキを体現する出来事にちょっと感動。
言葉で思考は変わる。
風は強いが平坦な道が増えてきて、そこからはもうよくわからない状態で走り、サンルイの宿についた。
今日は、写真もほとんど撮れていない。
95kmという距離は、今の荷物と体力では難しいことがわかった。
とにかく体を休めたい。
明日はサンルイでゆっくりする予定だ。
できることなら、1日中寝ていたい。