チュニスに着いた。
関空で奥さんと別れる時は、
見送ってもらうことに、
いつも申し訳ない気持ちになる。
機内では、眠ろうと何度も目を閉じた。
けれど、座って寝るということには、なかなか慣れない。
それと少しの興奮がそうさせるのか。
映画も見ず、じっとフライトマップを眺めている。
空港に降り立ったときの気温は17度。
思っていたよりもひんやりしていた。
宿のオーナーが迎えに来てくれた。
12ユーロ。タクシーを自分で拾うよりずいぶん安い。
一人の時は、交渉も、ドライバーと地図を見ながらの宿探しも
旅の一部と思っていたけど、今回はお金で解決した。

宿は古いフランス様式の名残をとどめている建物の3階にある。
廊下沿いに幾つかの個室がある。
部屋は、高い天井、白い壁、きれいに整えられているが、
残念ながら暖房はない。
だから夜は冷える。
アフリカ大陸だけど、
この3年間通ったサブサハラとはまるで違う。

建物が古くて朽ち果てているところもある。
その街並みを見ていると、キューバを思い出す。
止まっている車は違うけれど、
建物の朽ちている様子や路地を行き交う人、
子どもたちが遊んでいる様子は、
ハバナの路地の風景に近いものがある。

街を歩くと、路上に座り込む人、
何かを探すようにゴミを集めている人の姿が目につく。
失業率が高いと聞いていた。
その影は、確かに街のあちこちに落ちている印象。
路面電車は帰宅時間だったからか満員で、
ドアから人があふれている。
その光景は、どこかアジアの都市を思わせる。

最後尾の連結部分に、体を引っかけるようにして立つ若い男の子たち。
きっと切符は持っていないのだろう。
それでも彼らは笑っている。
はみ出しながら、生きている。
これこれ、これが見たかったと手を叩きそうになった。

実は、イスラム圏ではそろそろラマダンが始まるそうだ。
オーナーが、宿に向かう車の中で
「今の時期がどんな時か知ってる?」と聞きてきた。
「ラマダンでしょ。」そう答えると、
「わかっているのに、なぜこの時期に来たの?」
町の様子が一変するらしい。
どうやら気を引き締める時期に来てしまったようだ。