昨晩の平塚はホテルで宿泊。
快適だった。

部屋にテントと寝袋を持ち込んだが、
キャンプするというわけではなく、
一晩きっちりと乾燥させてもらった。
寝袋はふわふわ。少し軽くなった気がする。

シャッター付きのガレージの中で
一晩泊めてもらったリヤカーを出してきて、いざ出発!

今日は21km先の小田原を目指す。
天気はいいし、きれいだと教えてもらった
海沿いの遊歩道へ。
車が通らない道。それだけでホッとする。
遊歩道に出ると、相模湾が広がる。
湾といっても、大きいから目の前は大海原。
ゆっくりと景色を満喫しながら歩く。

ぼくは隙だらけなのか、
普段からよく道を聞かれる。
それに加えてノボリを立ててリヤカーを
引いているから、行き交う人に
何人も旅のことを聞かれた。

平日の午前中に歩いている人といえば
ほとんどがリタイヤされた人。
時間はたくさんあるから、話したくてしょうがない
「どこから歩いてるの?」と、始まるのだ。

これも、旅の醍醐味なので、
一人一人話しをしながら歩いていた。
お遍路を歩いた人や、山登りが好きな人たちとは
話しが盛り上がる。

そのなかで、必ずといっていいほど、
「箱根、これで登るの?これで?」
「大丈夫かなぁ」とか
「無理じゃない」とか
「辛いことになるかもしれないよ」とか
もういろんなことを言ってくださる。

ぼくも、先日の権太坂あたりの恐怖体験もあるし
断捨離することにした。

郵便局前につくと、荷物を出して
送り返すものを整理。

まずは防寒衣類数枚、靴下など。
寒ければインナーをレイヤーしてしのげばいい。

次にキャンプ道具
コッヘルやバーナー、ナイフなど、
調理はしないと決めてすべて送り返した。
これで7kgほど減っただろうか。

120kgほどあったリヤカーが
少し軽くなった気がしたから、
まぁ効果はあったということにしておこう。

小田原まで狭く単調な道が続く。
面白くもない道を道幅と車の往来を気にしながら歩いていく。
そんなとき車から「がんばって〜」とか「ププッ〜!」と
鳴らしてもらえると、暇すぎてどこかに行っていた自分が
ブルッと現実に舞い戻ってくる。
声がした方を向いて『ありがとう!」と
元気いっぱいに叫ぶのだ。
一瞬でテンションがあがる。

それで10分くらいは、元気に歩ける。
気力補給には、がんばって〜が効くのだ。
老若男女問わず効きますので。ぼくの場合。

大磯で声をかけてもらった井上さん。お遍路を区切り打ちされていた。ぼくが旅を終える前に結願しました!と連絡をもらった。
メッセージを書き込んでもらう。ワクワクする瞬間だ。
海がでかい。太平洋だわ
軽く渋滞していて、何度か出会った。このピースで30分くらいは元気に歩けた。
今日も富士山が見える。ありがたい。やっぱりかっこいい。惚れてまうわ〜って感じです。

 

小田原駅に予定より遅れて到着。
昨年ちらっと立ち寄ったことがあったから
駅前は見覚えがあった。

リヤカーを置いて、ぐるっとまわってみて
場所を決めた。
地元の方がビラまきをされている横だ。
ご挨拶して開店準備をしていると、
「こんにちは〜遥の母です!」と
声をかけてもらった。

遥さんのお母さんだ。
話しはチラッとは聞いていたが、
本当に来ていただけるとは。
うれしい〜

遥さんは、ぼくがフランスの
ル・ピュイの道で出会った女性。
サンコームドルトという、
中世に紛れ込んだような町で
連日の雨や雪、寒さで体調を壊して、
宿で寝込んでいるところにやってきたのだ。

彼女は、フランス語が流暢なため、
ボンジュールとメルシーしか言えないぼくにかわって
宿の人たちに話しをしてくれて面倒を見てもらった。

その後も、歩いていて、
ぼくが困っているときに、ふと現れる。
それも何度も何度も。そして、助けてくれるのだ。
カミーノを歩いていて、
不思議なご縁をいただいた一人。

そんな遥さんのお母さんが近郊にお住まいだそうで
おしることお味噌汁持参でかけつけてもらったのだ。

箱根を前にして、緊張しているところに
やってきてもらえるとは。
親子で面倒をいただいている。
ありがたい。

「おしることお味噌汁
どっちが好きかわからないから、
2つ持ってきました!」と2つ差し出されたが
どっちも好きです!というわけで、
2つともいただいた。

本当に美味かった。温かさが体に染みる。
お気持ちがココロに染みる。
幸せだなぁって思うひと時だ。

罰当たりなことを言ってしまうと、
ココロのこもったおもてなしを受けると
病みつきになりそうになる。

ぼくからお返しするものがないから、
辛いところだけど、それくらいうれしいのだ。

しばらくすると、若者がカレンダーを見に来てくれた。
そして、サッと買ってくれたのだ。

彼は箱根の強羅で働いるらしい。
言葉数は多くないけれど好感が持てる人で
その後も連絡をいただいた。

移動の旅だから、どうしても、
その場だけで終わってしまいがちだけど
こうして連絡をもらえるのはうれしい。

 

日が暮れかけたころ、小田原で会社を経営している
幼馴染のまっけんが社員さんと一緒にやってきてくれた。

50歳の冒険に出る前からずっと応援してくれていて、
今回も強敵箱根を前にして、力強い味方の登場だ。

電話では
「箱根越えはムリやから、リヤカーは
軽トラで芦ノ湖まで運ぶから」と言ってくれていた。
今日会っても、真顔でそれを繰り返すのだ。

とりあえず、下見に行こう!と
社員さんに急きょ店番をしてもらうことになり
車に乗せてもらって箱根へ。

途中まで登っていったが、車が多く道が狭い。
カーブも多い。
きついなぁ、と内心思う。

しかし、これは歩く旅。
歩かないといけないわけで、
それ以外の選択肢は今はない。

甘い誘惑をどんだけしかけんねん、
というくらい軽トラの話しを聞いたが、
ここはグイッとこらえて、
「それでも歩く」と言い切った。

というわけで、午前中に続いて
駅前で再び断捨離大会開催!

荷物をドバーッと広げて、
要るもの要らないものにわける。

思い切って捨てたのがチラシ。
2種類1500部、10kgあったものを1/10に。

宣伝用のボード類は、
いろんな種類のものがいくつもあったので
思い切って1枚に。

路上販売のいろはがわかっていないから
いろいろあるといいのかなと増えてしまった。

こうした曖昧なところが
荷物を減らす上では
いつも削除するポイントになる。

わかっているのに、それができない。
う〜ん、残念!

それから、コンテナケースの重量も
バカにならないと1個処分。
そのほか、諸々処分してもらうことに。

会社からダンボールを持ってきてもらった。
カレンダー50部、照明用電池等を
箱根の向こう側、富士市に住むルタさんに
預かってもらうためだ。
目の前にあるローソンに持ち込んで完了。
これが9kgくらいか。

箱根に挑むための断捨離、しめて35kg以上。

総重量120kgが35kg減で85kgほど。

引いてみると、なるほど軽い。
これだけ減ると、減量したと実感できる。
少し緊張が和らいだ。
よし!これで明日、箱根と向き合える。

まっけんが、会社に戻っている間に
おじさんが声をかけてきてくれた。

「東海道歩いてんの?リヤカー引いて?」
そこから始まって、経緯を説明していると、
「まだ、こんなアホがおったか。うれしいわ!」
というニュアンスを標準語で言っていただいた。
ぼくにとっても、褒め言葉だ。

今日は知り合いと飲む約束をしているけど、
21時には終わるから、その後一杯どう?と
いっていただいた。
初対面の人に、こんなこといってもらえるなんて。
なんてフランクな人なんだ。

ただ、まっけんと飲む約束があるので、
そちらが終わった時点で時間があれば連絡します。
ということになった。

結局、まっけんと飲んで店を出たのが10:30。
ずいぶん時間をオーバーしたので、
電話はしなかったが、
気持ち的には電話して会いたかった。

初対面の人に、しらふで飲みに行こうよ!と
言えるのが、ぼくにとってはすごいこと。

ぼくも、ココロが動いたときに、
それくらい素早く動ける人でありたい。
そんなことを強く感じた出会いだった。

 

その晩は、駅前のスーパー銭湯「万葉の湯」で宿泊。
リヤカーも地下の駐車場奥に止めさせてもらえた。

小田原は、まっけんがいてくれたから心強かった。
そして、遥さんのお母さん、飲みに行こうよと
誘っていただいた中野さん。
立ち寄っていただいた方々。
いい出会いに満ちた町だった。

町の印象は、出会う人の印象に大きく影響する。
旅行者には親切に。
それが、地域活性化にもつながっていくんだろうと
考えていた。

さぁ明日は箱根。
リヤカーが軽くなった分、緊張も和らいだ。
ビールを飲んで気分もよくなり、
ソファに座った瞬間、
拳銃で打たれたように
リクライニングへ落ちていった。

小田原駅東口。ここでお店と断捨離やってました。
みそしるとおしるこ 字もかわいい。
遠慮のないおっさん。駅前で。美味しかった〜

 

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