ロゼルト 〜 モアサック 27km
Lauzerte 〜 Moissac​ 27km

昨日は40代の男性と同部屋だった。
彼はランナーだそうだ。
1日40〜50kmを60リットルのザックを担いで
歩いて走って旅をしている。

ぼくが20日間かかった工程を
わずか1週間で​やってきてしまった。
しかし、​足を痛めていて、
夜中ずっとアイシングをしていたのが気の毒だった。
ル・ピュイの道では、ゆっくり出発する人が多い。
ぼくは、早く出るので、どうしても身支度に気を使う。
しかし、彼もきっと早いだろう。
そんなことを期待しながら昨晩は床についた。

彼は4時ごろからゴソゴソし始めた。
が、さすがに早い。
5時すぎに第二波があったが、こ
れもちょっと早い。
しびれを切らしたような5:55。

ぼくもOK!乗りましょう!と飛び起きた。
部屋の電気をつける。
朝のスタートだ。
彼は用意も手早い。
ささっと片付けザックに仕舞い、ベッドメイクを
スマートに終える。
いやぁ、かっこいい。

日本人も負けちゃいないよと
きれいに仕上げる。
GITEの女将さんが、さすが日本人と、
にや〜っとするところを思い浮かべて
負けないくらいにきれいにした。

各機器の充電も完了。
食事はすでに用意されているものを食べるシステム。
1階の食堂に降りていくと
すでに数人のおじちゃんたちが食事をしていた。
食事のスピードだけは負けない​自信があるので、
ガガガッ、ズズズッ、グワーとたいらげる。
美しさのかけらもない。

フランスといえど、早い時間に食事を済ます人ほど
スピードが早く少食だ。
1日の歩く距離が長い人ほど、
食事に時間をかけないということか。

​そんななか、トップランナーとして
宿を出ることができた。

​7:05スタート。
太陽が出始めた時間帯に宿を出たから、
太陽がまだ新しい。

朝日が好きだ。
動かなかったものを溶かしてくれる。
そして、新しい1日に始まったことをそれとなく
ヒカリを持って伝えていく。

宿を出て、道に乗れば、
朝日が至る所で迎えてくれる。

やがて、後から宿を出発してきた人たちが
次々とやってくるのが見える。

その姿が次第に大きくなり、
短い挨拶のあと
また小さくなり消えていく。

抜かれてしまうことは
ぼくにとって、
あまり気持ちのいいものではない。
だけど、今はぼくの目の前に
撮りたいものがある。
だから気にならない。

70歳のおじさんにも抜かれてしまった。
池のほとりになぜか椅子が。ここで池を眺めるためだろうか。だとすればとっても贅沢だ。

太陽は時期的に黒点の多い少ないがあったとしても
その輝きに大きな差はない。
なのに、朝と昼と夕方の光は違うのだろうか。
理屈的にはいろいろとあるのだろうけど
始まりと終わりには何か特別なものがあるのだと
伝えてくれているのかもしれない。

朝日と夕陽。
それは、生まれ、そして死に行くことだと
例えることも多いようだ。
しかし、自分の命が尽きようとするとき
そんなに輝かしい光を放てるとは
ぼくには到底思えない。

死に行くときは、ゆっくり消えていくものだと思う。
それよりは、新しい1日を信じられる朝の光と
再生を誓って燃え尽きる今日のほうがわかりやすい。

長いスパンで考えると
命は誰かと誰かのつながりによって
連綿と伝えられていく。
それが自分のなかで繰り返される
昨日、今日、明日ではないだろうか。

ぼくらは、自分の意思によって再生できる。
今からでも、これからも。

教会という建物は素晴らしい。しかし、これが建てられた背景を考えると、その大きさ故、少し恐ろしい気もする。きれい、すごい、という表層の裏に、一枚剥がせば見えてくるものがたくさんあるような気がする。

 

 

<MOVIE>(撮りっぱなし。編集なしです)

サンティアゴ巡礼道 サンピェール修道院付属教会1 モアサック

サンティアゴ巡礼道 サンピェール修道院付属教会2 モアサック

2件のフィードバック

  1. 初めまして!いつも読ませていただいております。atsushiさんの言葉や文章の1つ1つが素敵で、心に染みわたってきます。atsushiさんの言葉にハッとさせられたり、何だか読んでいるだけで浄化させられる気分です。
    考え方も物事に対する感じ方もとても素敵ですね!心が癒されるので感謝の気持ちを伝えたくてコメントさせて頂きました。
    またブログ楽しみにしております!

    ブエンカミーノ!

    1. みはるさん
      ブログを見ていただいてありがとうございます。
      そして、お褒めの言葉ありがとうございます!
      励みになります!
      これからもお付き合いよろしくお願いします。

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