カオール 〜 ラスカバヌ 21km
Cahor 〜 Lascabanes 21km

カオールの宿を7時に出発。
これまでで一番早いスタートだ。
今日は32km先のモンキュまで歩く。

そう意気込んで宿を出たが雨。
路面が濡れている。
教会前を通るとマルシェが始まろうとしていた。
まだ暗い。準備も始まったばかりなのに
なぜかココロが騒ぐ。
うろうろしているうちに、買い物客もやってくる。
店が早いか客が早いか。

男性の姿も多い。
ほとんどの人が買い物かごや
カートを持って食材を買いにきている。
フルーツが豊富だ。パンもある。
チーズ屋さんは大型トラックのキャビネットが開くと
お店になる仕組みだ。
見ていて楽しい。

雨の中、マルシェの準備が。

おじちゃんも買い物かごを手に。

[caption id="attachment_627" align="alignnone" width="1200"] おばちゃんも

おねえさんも
カートを引く人も

1時間ほどいただろうか。
マルシェはこれから始まるよ!という状況だったが、
もう行かねばと後ろ髪を引かれるように後にした。

カオールは谷底にあるため、町を抜けるには
急斜面をのぼらなければならない。
息を切らせながら、急な山道を登っていくと
見晴らしのいい場所に出た。

景色のよさに見とれていると、
絶好のポイントにテントが張ってある。
そして、そこで朝の時間を満喫している人がいた。

ツワモノの風格

日本人だった。
彼は、昨年日本のお遍路さんをまわり、
そこでカミーノ巡礼のことを知ったそうだ。

晴れていても、雨が降っていてもテント。
雨が降っている時の設営、撤去の面倒臭さは
ぼくも何度か経験しているからわかる。
しかし、テントはGITEと違い、
空間が決まっているから
落ち着けるのだという。
すごい人はいるものだ。

朝からぐいぐい引き込まれてしまって
彼の大切な朝のひとときを
邪魔してしまったかもしれない。
撤収が始まったので、
一足先に歩き始めた。

朝のうち天気が悪かったが、
昼前になると青空が見えてきた。
暑さも感じるようになり、いい陽気だ。

2時間ほど歩いただろうか、
今度はテント干ししながら
くつろいでいるフランス人に出会った。

名前はベスチャン。
彼は晴れた日はテント泊、
雨の日はGITEと使い分けている。
ぼくにとって理想的なパターンだ。

彼はフランス南部の自宅から
歩いてきたのだという。
もちろん目指すはサンチアゴ。
しかし、彼には気負いがない。
1日30〜40キロを歩く人はスピード感がある。
しかし、彼は「ねばならない」の影が薄い。

優しすぎるフランス人ベスチャン

ぼくと30分以上は話をしたので、
シエスタ(お昼寝)してから歩くよ。
という彼とおいて先を急いだ。
しかし、今日は朝から道草だらけ。
そのため、モンキュを諦め、
手前のラスカバヌで宿を探すことにした。

しかし、ここからが大変だった。
GITEがどこも一杯で空いている所が見つからない。
一件空いていたお店に紹介してほしいとお願いしたが
難しかった。だってその村に他にないから。

その時に、現れたのがシエスタを終えたベスチャン。
どうしたの?というので、事情を話すと
5月は人気にある月で土曜日だから、
ハイカーで一杯なのだろうという。

ベスちゃんが自分のザックを下ろした。
ガイドブックを引っ張り出してきて
モンキュのどこに泊まりたいか聞いてくる。
電話で予約をしておこうといってくれているのだ。

場所を選んでお願いすると通話圏外。残念。
とりあえず、モンキュに行くしかないと二人歩き出す。

名前もないGITEがあった。ぼくなら通り過ぎている場所。
フランス人だからわかるのだろう。
オーナーに掛け合ってくれる。
しかしここも一杯だった。
すると、携帯からじゃかかりにくいからと
オーナーに固定電話からモンキュの宿に
予約するよう依頼をしてくれた。
しかし、そこも一杯。
最後は、ぼくのテントで一緒に寝ればいいでしょ。
そう言って励ましてくれる。
この人は、なんてやさしいんだろう。
さっき出会ったばかりのぼくに
自分の時間を割いて調べたり
交渉してくれたりしている。

30歳のベンチャンに、
本当にありがとう!
君のその行為に感謝するよ!伝えると
巡礼者はお互い様さ。
ぼくもスペインにいけば
助けてもらわなければいけいないことが
出てくると思う。
ここはフランスだから、
ぼくにできることは任せて。
と言ってくれる。

2キロほど歩くと小さな教会があった。
ベスチャンがそこで道の上で出会った
フランス人のおじちゃんと話を始めた。

そのおじちゃんは、GITEの人にここまで
迎えに来てもらうのを待っているらしい。

金額はこれくらい。どうだ?と聞いてくる。
モンキュに行っても町を彷徨うことになるのは
見えていた。

何も聞かず、お願いします!の一言。
それで話をまとめてくれた。

車が迎えにくるまで、そしてぼくらを乗せた車が
出発するまで、ベスチャンはずっと待っていてくれた。
彼は、モンキュ郊外のどこかで
テント泊をするらしい。
彼も疲れていないわけがない。
なのに、自分のことより、
目の前の困っているぼくのことを
優先してくれている。
彼のその姿勢に本当に頭が下がる。

宿につきシャワーを浴びて、洗濯物を干すと
5分もたたないうちに嵐がやってきた。
ものすごい風と雨。
びしょびしょになりながら洗濯物を取り込む。

今頃ベスチャンはどこで、どうしているんだろう。
そのことが頭をよぎる。
ぼくの世話をしていなければ、先に進めたはずだ。
申し訳ないことをした。
そう思いつつ、今日撮った写真を
パソコンに取り込んでいると
宿の女将さんがぼくを呼ぶ声が。
なんだろうと思い廊下に出ると、
そこにいたのは、ずぶ濡れのフランス人だった。

ワォ〜、ベスチャン!

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