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La Clauze 〜 St-Alban-sur-Limagnole 25km
ラ・クローズ 〜 サンタルバン・シュル・リマニョル 25km
昨晩の宿はぼく一人。
3人部屋を独占できたから
よく寝られた。
5時に目覚ましをかけていたが
ピタッと眼が覚める。
窓の外が気になって仕方がない。
昨日、宿のオーナーが明日は晴れると言っていたのを信じて
カーテンオープン!
雪積もってるやん!
おまけに吹雪いているし。
ここで今日の予定を変えることにした。
今日は写真を撮るよりも歩くことにしよう。
外に出して歩くものを必要最小限に。
雨具関係はすぐに取り出せる場所に。
ダウンジャケットは寒ければ羽織れるように
リュックの一番浅いところに・・・
食堂に下りていくと、外気温が表示されているボードがある。
-3度。
今日はここから300mほど登るから
もっと寒くなるだろう。
ごつい身体なのに、なぜか赤いエプロンをして
キッチンに立つオーナーさんが作ってくれた
朝食をいただく。
明日は晴れるよ。というオーナーに
今日晴れるんじゃなかった?というと、
今日はこの通りさ、と窓の外を指して笑う。
続けて、そのエプロンは何なん?と
聞きたかったが、やめておいた。
エプロンを外したオーナーに見送られながら
外に出る。
辺りは真っ白だが雪は止んでいた。
これだけでもかなりありがたい。
ザクザクと音がする地面を滑らないように
踏みしめながら歩き始める。
緩やかな坂道が延々と続く。
登っていくと風が出てくる。
気温も下がっているのだろうが
それよりもこの風が厳しい。
途中から広い道をそれて森林の中を歩く。
針葉樹ばかりで、
写真を撮りたい気分にならない。
そう思っていると、ずいぶん後ろに
一人歩いてくる人が見えた。
しかも、すごいスピードで追い上げてくる。
小さな小さな村を通過するとき
建物の写真を撮っていると、
ついに追いついてきた。
女性だった。
ボンジュール!と挨拶したが、
ニコッとしただけで追い越していった。
みるみるうちに距離が離れていく。
負けるわけにはいかんやろ。
何が勝ち負けかわからないが、
勝手に火がついて、追いかけた。
はーはー言いながら追撃していると
彼女が休憩をとっていた。
少し話をした。
スイス人らしい。
英語が上手だ。
フランスに来てから
意思の疎通がうまくできていなかった。
食事をするときには、一緒にいるけど
何を言っているのかさっぱりわからない。
話が長くなるにつれ、
自分の存在が透明になっていく感覚になる。
そこにいるけど意識されていない自分。
だから意思の疎通ができることが
何よりうれしいのだ。
抜きつ抜かれつになりながら
次第に一緒に歩くようになる。
聞くと、スイスの自分の住む町から
巡礼道が始まっていて
そこから歩いてきたらしい。
1ヶ月かけてここまできた。
そしてあと2ヶ月で
サンチアゴを目指すとのこと。
あの追い上げスピードは
スイスから1ヶ月歩くなかで
鍛えられたのだろう。
興味がわくなか、
いろいろ質問をしていたが、
だんだん彼女が一方的に話しを始めた。
こちらも聞き流すほどの語学力もない。
がんばって聞こうとしたが、
歩くペースの速さも負担になり
途中で先に行ってと別れた。
2時間ほど一緒に歩いただろうか。
ただ、そのおかげで
びっくりするほど距離が稼げていた。
宿がある町に到着。
町になると宿を探すのが大変だ。
最初はうろうろと宿を探していたが
途中からは人探し。
バーで飲んでいた若者に宿名を伝えると、
他の誰かに聞いてくれ
その他の人がバーにいる人に聞いてくれ
ようやく探しあてることができた。
フランスは田舎にも若者が多い。
日本とは違う。
過疎化していないようだ。
宿があくまで外で待機。
予約をとっていないので
泊まれるかどうかもわからない。
冷え込みが厳しいなか
外で手をこすりながら待っていると
見かねたオーナーさんが
ドアを開けて招き入れてくれた。
ベッドは空いていた。
ラッキーだ。
なんだか体がだるい。
寒さで体がほてっているのか
あまり体調がよくない。
シャワーと洗濯をささっと済ませた。
今日は早く寝ることにする。
<MOVIE>(撮りっぱなし。編集なしです)
ソーギュ〜サンタルバン・シュル・リマニョルに向かう道で。この日は巡礼者には2人にしか会わなかった。
雪が舞う中歩いていく巡礼者。
自撮りです。
時間前なのに、室内に招き入れてくれた。宿のオーナー夫妻がトランプで遊んでいる。仲良しで優雅だ。
じぶんの魂が救われた思いです、ぜひ私も歩きたいです。
機会があれば歩いてみてください。カミーノは素晴らしい出会いと気づきに満ちた道です。