【サンティアゴ巡礼・フランス人の道】41日目:見上げる夜空に、ぼくは何を見るだろうか。 パンブローナ​ ​〜​ ​プエンテ・ラ・レイナ​ 24km​


パンブローナ​ ​〜​ ​プエンテ・ラ・レイナ​ 24km​
Pamplona​ 〜 ​Puente la Reina​ 24km​

​6:30スタート​
​パンプローナの街は昨日の余韻を残すように
ゴミが散乱していた。

そのゴミに混じって、
抱き合ったまま離れないカップルや
夜明けを恨むように酔っ払った若者たちが
所々にたむろしている。
そのなかで、いつもと変わらないように
明かりを灯しているお店が一軒だけあった。
店内では忙しそうに作業が進んでいる。
パン屋さんだ。

フランスでもそうだったが、
町のすべてのお店が閉まっていても
パン屋さんだけは開いていることがあった。
フランスやスペインでは
パンがなくては日常が成り立たないのだろう。
働き者でなければ務まらない職業だ。

あれだけ浮かれていた街のなかで、
毎日と変わらない1日を始めていることに
妙に感動にした。

昨日、日本の女性友達の紹介で
スペインの男性と会うことができた。
その方は、パンプローナにアトリエを持ち
スペインで芸術家として活動されている方だった。

日本に対する造詣も深い。
日本でも個展をされた経験もある。
作品には和紙を使ったものや、
道具にも日本の刷毛や筆など様々なものが
置いてあった。

ただ、日本語が話せるわけではない。
英語もほとんど難しい。
ぼくも、スペイン語はできない。
身振り手振り、物を使ったりしながら
アイコンタクトで確認をしていく。
非常に根気のいることだ。

しかし、紹介してくれた女性が信頼され、
その友人としてぼくがそこにいるから、
質問に対して本当に真摯に答えていただいた。

そのなかで、一番印象に残ったことは、
プロセスの大切さだ。

最近創られた作品を見せていただく。
机の上に置かれた作品は
夜空をモチーフに創られたもの。

ただ、その作品を作るまでには
10年の歳月がかかっている。
彼が休暇で海に遊びに行ったときのこと。
夜に空を見上げていたときに
インスピレーションが舞い降りたという。
それから5年、自分の頭のなかで
転がしながら深くイメージしていく。
そして、6年目から実制作に入るが、
イメージを具体化するために
4つの工程を経ている。

最初は、円盤状の模型を大小いくつも作る。
それらを重ねて配置していく。
細かく少しずつ移動させながら、
イメージを目に見えるカタチとして落とし込む。
落とし込まれたものを、次は紙に鉛筆で線画として描く。
その線画が幾重に紙を重ねたように立体的に見える。

さらに模型を使いながら、修正を加え
次は、日本の高級和紙に線を描きこんで行く。
和紙の色も漉き方もさまざま。
黒谷、なかとみ、その他の地域の超高級和紙を使う。
しかし、彼にとってはこの和紙がすごく重要だそう。
イマジネーションをふくらませ、落とし込む工程として
和紙が欠かせなかった。
ぼくには、この和紙の線画が作品に見え
そして、この過程も作品ではないかと思えた。

そのことを彼に話すと
一冊の作品集を書斎から持ってきてくれた。
ビニールを破いて見せてくれる。

いろんな作品が掲載されている。
なるほど、と思いながら見せてもらったが、
実はここには仕掛けがあった。

なんとなく見ていた作品の写真が
実は、完成にいたるまでの工程を
見せているものだった。

過程が大切なんだ。

君がカミーノを歩いていること。
それを成し遂げることも大切だが
その過程が、一歩が大切なんだよ。

できれば、ゴールは
サンチアゴ・デ・コンポステーラからさらに先、
大西洋を見わたすフィステーラまで行ってほしい。
そこは最果ての地。
そこで、夜空を見上げて、自分の家族や友達、
この旅で出会った人々、
お世話になった人たちを思い浮かべてほしい。

そのとき、ぼくがこの作品で作り上げた世界観を
きっと共有してもらえるだろう。
大切なことがそのなかに必ずあるから。

言葉が通じない二人だけど、
そんなことを言ってもらったとぼくは確信している。

彼は作品集の表紙をめくったところに
ぼくに対するメッセージを書いて
プレゼントしてくれた。

この本は1キロ以上はある。重い。
しかし、彼の想いはさらに重い。
フィテーラで、その作品集を脇におき、
見上げる夜空に、ぼくは何を見るだろうか。




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