――SDGsをひと言であらわすなら「社会課題の解決をめざす」といってもいいのではないだろうか。例えばそれぞれの企業においては、自社の強みを生かして、社会のさまざまな課題を解決し、持続可能な社会を作ることに貢献していくことだ。島津製作所の作る分析・計測機器や医用機器などは、そのまま社会課題の解決に直結しているように見えるが、SDGsに対してどのような考え方で取り組んでいるのだろうか。
竹内室長:当社の社是は「科学技術で社会に貢献する」であり、経営理念は「”人と地球の健康”への願いを実現する」です。いずれも、2015年にSDGsが採択される前からありました。我々がSDGsの内容を見たときに感じたことは、これは、当社の社是や経営理念にそっくりだということでした。つまり、社是のもと、これまで長きにわたって、社会課題に真摯に向き合い、事業を通じてその解決に直接的に間接的に取り組んできた当社の企業活動と似ていると感じました。
社是:科学技術で社会に貢献する
経営理念:「人と地球の健康」への願いを実現する
――島津製作所の社是や経営理念は、確かにSDGsと親和性があるものであり、かなり近いように思える。では一体いつ頃作られたのだろうか。
竹内室長:社是を作ったのは創業者なので、明治時代になります。聞いたところでは、創業者が、当社は何のために存在するのか、何が目的なのか、どこを目指すのかなどをしっかり考えて、確たる思いを社員たちと共有するために作ったということです。その言葉がいまだに現役で生きています。しかも、それが時を経てサステナブル(持続可能)な社会を目指すSDGsと重なったということです。
――今の時代にマッチするこの社是が明治時代の創業当時に作られたことは驚きでしかない。
竹内室長:サステナブルという考え方は、新しいように感じますが、本質的なことなのかもしれません。しかしながら、社会や事業のあり方が複雑になり、人間の欲望が肥大化してすぎてしまい、そのことが見えなくなっていました。けれども、地球という自然環境と真摯に向き合うことが必要になった時、この考え方が再び見えてきたのかもしれません。