1泊2日でフォンニャケバン国立公園にある
洞窟ツアーにいってきた。
この国立公園には300ほどの洞窟があるらしいが、
行ったのはそのうちの1つ。
1つといってもかなり大きく何キロも続いている。
ツアーは、イタリア人の31歳のマテオとバレリアの既婚カップル。
そしてぼくの3人。
そしてぼくの3人。
それにガイドとアシスタント。
ポーターやコックさんは、キャンプサイトへと
先回りしてスタンバイをしてもらっているらしい。
なんと贅沢なツアーだ。
車で30分。降ろされた場所から
ジャングルのなかへ分け入り
山を下りていった先に、
岩がドーム状に大きくくり抜かれた
場所で休憩となった。
用意してもらっていた食事をしながら
ここからどこへ向かうのか?
ここで行き止まりだから
また山をのぼって洞窟の入口に向かうのか。
そんなこと思っていたが
実はそこが洞窟への入口だった。
ドーム状の一番奥にわずかな隙間があった。
そこを這いつくばりながら中へ入っていくと
そこがスタート地点。
真っ暗ななか、ヘッドライトと先を行くガイドを頼りに
奥へと進む。
体をくねらせたり、這いつくばらないと
通れない場所もある。
地中奥深くに潜っていくと地下水がつくる川が流れる
そこを歩く。そして泳ぐ。
電気を消せば100%光るものがないなかを
泳いでいる自分が不思議でならない。
この水はいつのころ表面に降った雨水なのだろうか。
そしていつ地表へと流れ出るのか。
不思議でならない感覚のなかを泳ぎ、歩く。
洞窟のなかには
1500ルーメンの高出力ヘッドライトの光が届かないほど
天井が高い場所もある。
光が届かないと、光が吸い込まれているのではないか
そんな感覚になる。
高いところでは10階建てのビルが入るのではないかと思う。
他の洞窟ではジャンボジェット機がすっぽりと入るくらい
大きな空洞があったりするらしい。
まさに地下の巨大空間。
鐘乳石が至る所にある。
形ができ始めたばかりの鐘乳石もあれば
崩れ落ち横たわるものもある。
なんのためにできたのか。と
ついつい人間の浅はかな考えで
目の前の不思議な自然の造形物を見てしまう。
しかし、理由を考えてもわかるわけがない。
鐘乳石が上に下に伸びていくスピードは
100年で1cm程度と言われている。
10mを超えるようなものが無数にあるなかで、
たかだか50年ほどしか生きていない自分に
何がわかるというのか。
ましてやその理由を見出そうと考えること自体が
人間本位な考え方で笑えてくる。
この洞窟の最深部に到達したところで
撮影をさせてもらった。
撮影のときはガイド以外は
ヘッドライトを決してもらっていた。
撮影が終わり、ぼくがサンキュー!と叫ぶと
ガイドがおもむろにヘッドライトを消した。
撮影のときはガイド以外は
ヘッドライトを決してもらっていた。
撮影が終わり、ぼくがサンキュー!と叫ぶと
ガイドがおもむろにヘッドライトを消した。
一瞬ハッとした空気が周りに漂ったが
それを皆が受け入れるように口をつぐんだ。
それを皆が受け入れるように口をつぐんだ。
目を開けていても閉じていても
視界はまったく変わらない。
視界に頼ることができなくなると
聴覚が冴えてくるが聞こえない。
この大きな空間のなかで、自分の位置関係を
捉えようと五感を働かせるが役割を果たさない。
自分のなかの五感が無意味に思えたときに
何もないってこういうことなのか。
と、ふと感じた瞬間があった。
言葉で表すことがとても難しいが
何もないというのは、すべてのなかのひとつであり、
いや、ひとつというのもおかしくて、
何か大きなもののなかにある意識とでもいうのか、
そんなものを感じた。
そんなものを感じた。
何もないところから生まれ、何もないところへ帰る。
生きている今に何かを見いだそうするのが人間なら
そのことはとても崇高だと思えるし
悲劇の始まりでもあるのかと思えたりもする。
しかし、こうして考えていることは後付けの話。
ぼくが洞窟の最深部で感じたあの不思議な感覚。
感覚は時間とともに消えていくが
あのときの感覚は
感覚は時間とともに消えていくが
あのときの感覚は
心のどこかに残っていてほしいと思う
すばらしい体験だった。
すばらしい体験だった。
一緒にツアーに参加してくれた
知的で陽気なイタリア人カップル、
マテオとバレリア。
二人はぼくが洞窟のなかで撮影するのを
嫌がることもなく手伝ってくれた。
食事のときも笑い声が絶えない。
51歳のオッサンをいじることも覚えてくれて
二人の会話のなかにぼくを置いてくれた。
ガイドのバオ。彼も31歳。新婚だ。
撮影場所をアドバイスしてくれたり
細かなフォローが絶妙だった。
その土地の感想は、
その土地で巡り合った人の印象だとも言える。
フォンニャケバンで出会った
彼らに本当に感謝したい。
彼らは今にどこにいるのか。
そんなことを思いながら
このブログを書いてみた。