サンティアゴ滞在

サンティアゴに昨日10:30ごろに
着いたことはすでにお伝えしたこと。

教会のミサは12:00から。
しかし、バックパックを持っては入れない。
宿も決まっていないのに、というわけで
昨日のミサを諦め、今日の昼のミサに出る事にした。

人が多いから11時には行ったほうがいいよ。
そんな話を聞いていたので、10:45頃
教会に入った。
まだ人はパラパラだったが、前の席は
埋まりつつあった。

ぼくは、祈っている人の写真を撮りたかったので
人を撮るにはどこがいいかと探していた。

教会内を回っていると、壁際に紙芝居でもやるのか
というくらい小さな個室がいくつか並んでいる。
告解室だ。
神父さんが入っておられて、
神父さんの前にひざまづいて若い女性が話をしている。

初めてみたが、泣いている人もいて
神父さんに、やさしく諭されている人もいた。
順番待ちの列がいくつもできている。
若い人から高齢者まで年齢は幅広い。

スペイン入ってからだが、
バカでかく、きらびやかな教会は
ひねくれた見方をすると集金装置にも見えてしまう。
しかし、ここではこうして、
人を救うことが機能しているのを見て
少しほっとした。

そうこうしているうち、人はどんどん増えてくる。
ベンチには座りきれず、柱に腰かける人、階段に座る人、
最後は床に座り込む人もでてくる。
この教会の構造は、一般的なI字型とは違い、十字の形をしている。
4つの通路があるが、どこもいっぱい。
動く歩くことすらできない場所もある。

ミサが始まる。
立つな、前が見えない。
静かな争いが起きているところもある。

甘く見すぎていた。
この人の多さは尋常ではない。
群衆を撮ろうとすると、
ここは撮影禁止だとまわりの人に言われる。

注意書きの看板には、撮影の際はフラッシュを使うな
と書いてあり、写真禁止とは書いていない。
しかし、他の場所に移動しても、また言われる。
人の多さと注意の多さで、撮れる場所がなくなってきた。

今日のお昼のミサは、ポタフメイロといって
天井から吊るした金属の大きな香炉を
教会いっぱいに振り子のように振る儀式(?)があると
聞いている。だからこんなに多いのだろうか。

噂どおりボタフメイロが始まった。
撮影ダメといっていた
おじさんも撮っているじゃないか。
どうでもいいけど。
ぼくも撮れる範囲で撮ったが、
完全にポジションミスだった。

このクライマックスの儀式が終わると
ほどなくミサは終了した。
ライブが終わったときのように、
みなが一斉に出口を目指す。
ぼくもその列に並んでいた。

そのとき、どいてどいて!と教会関係者が
やってきた。
何ごと?と思っていると、
ミサを行っていた司祭や神父さんたち
20名近くがぞろぞろと控え室に入っていく。

なかなか、見応えあるなぁと
写真を撮っていたとき、
見覚えのある顔がその列にあった。
彼もぼくに気づき、目配せをする。
このミサの撮影は完全に敗北だと思っていたぼくに
衝撃が走った。

その神父さんは、今日の10時ごろ
サンチアゴ・デ・コンポステーラの広場で
出会った人だ。
そう、彼はぼくと同じ巡礼者。
サンジャンから歩いてきて
朝イチにここに到着したそうだ。

ぼくはこの人を知っている。
イタリア人だ。

何度も同じ部屋になった。
彼は誰ともつるむことなく、
黙々と一人で歩いていた。
宿につけば、静かにスマホか本を読んでいた。

その若い彼を一番印象付けたのが
イラゴ峠「鉄の十字架」で膝間づいたまま
数分間祈り続けた姿だ。
以前ブログにアップした写真の彼

ぼくがずっと気になっていて
いろんなことを想像していた彼が
サンチアゴというゴールの地で
正体を現した瞬間だった。

今日の主人公の彼。広場で写真を撮っていた僕に声をかけてきてくれた。この時は、ゴールできたことをお互いに称えあっただけだった。

こんなに出来過ぎのストーリーが
あるのだろうか。
これは偶然か。
これを必然と捉えるなら、
これは何のメッセージなのだろうか?

サンティアゴでほっとしていたぼくの心に突き刺さった
この衝撃をどう解釈したらいいのだろう。
カミーノからの新たなプレゼントだ。

ちょうどいい。
ぼくは明日から最果ての地を目指して、
さらに西へと向かう。
その道の上での宿題として
脇に抱えて歩くことにする。

早朝、誰もいない広場に行くと、石のブロックにホタテ着が掘られているのを見つけた。
さらに西へ向かう巡礼者


ボタフメイロのシーン。大きな金属の香炉が振り子のように教会内を走る。

 

2件のフィードバック

  1. カミーノマジックを体験されましたね。
    私もイラゴ峠の彼が気になっていたので、読んでいてゾクゾクしました。
    そして、彼の素敵な笑顔の写真。
    感動をありがとうございます。

    1. びっくりするくらい見事なオチで、
      映画でも見ているのかと思ったくらいです。
      日常のなかにもきっとあるのだと思いますが、
      つながりや流れを見過ごしているのでしょうね。
      ありがとうございます!

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