折りたたみ自転車と列車でスリランカを巡った45日

<一緒に旅をした自転車>

今回のスリランカで使用した自転車は、20インチの折りたたみ自転車だった。変速はリアのみ9段。スピードよりも剛性や安定性を重視して選んだ。もともと自転車に乗ることも旅をすることも好きだが、技術的なことやパーツなどの知識に乏しい。あれこれ細かいことを言われてもわからないが、自転車に積む荷物のチョイスやフロントとリアの配分などはこだわった。いくら快適に走れても、カメラがさっと取り出せなかったり、自転車から離れるときの安全性などが考慮できていないと、自転車に縛られて身動きが取れなくなってしまう。

当初は自転車の両サイドにパニアバッグという防水バッグで走ることにしていた。しかし、これだとバッグの数が多くなる。自転車にロックできるわけでもなく、防犯性に難があると思い却下した。あれこれ走りながら試したが、最終的にはフロントには、すぐに外せるカメラバッグを、リアには、サイドではなくトップ(荷台)に、カヌー用の円筒形の防水バッグを積むことに。円筒形のバッグは、黒の厚手のゴミ袋で包んで、なるべく汚らしく見せた。たいしたもの入ってませんアピールのためだ。

自転車の前に積んでいるカメラバッグには奪われてしまうと旅ができなくなるものを入れていた。カメラ本体、レンズ、カメラの電池、充電器、パソコン、電源コード、メインの外付けHDDなどなど。重さは15kg近くになったが、それは自転車から離れるときは必ず背負うようにしていた。

後ろの荷物は、衣類に薬などの日用品、バックアップ用の外付けHDDや頻繁には使わないカメラ機材、予備電池などなど、もし取られても旅は続けていけるものを入れた。お店で休憩するときは、目が届く範囲に止めた。市場などでは、なるべく人目につくところに置いた。鍵は2重ロック。まわりに笑顔を振りまいて、ぼくが駐めたことをアピールする。一言二言だけでも話しをすると、全く知らない人よりも、味方になってもらいやすいと勝手に思っている。自転車に悪さをする人がきたときに、止めとけ!と一言言ってくれたら、もしくは、あかんやろ!の視線を送ってくれるだけでも、抑止になる。積極的にこちらからコミュニケーションをとることは、旅先では悪いことよりも良いことの方が多い。(駅やバスターミナル、街角で向こうから寄ってくる人は別)

自転車のトラブルは、おかげさまでほぼなかったといっていい。転ぶことはあったが、走る上で支障はなかった。工具はパンク修理キット、空気入れ、六角レンチ、ドライバーくらいのもの。結束バンドをたくさん持っていったが、これは何かと役立った。町につくと1件は自転車屋さんがあるので、そこでなおしてもらうこともあった。特に雨が降った後は、チェーンの油が落ちてしまい、動きが悪くなるので、自転車屋さんで油をさしてもらった。オイルは、はっきりとはわからないが、バイクや車のエンジンオイルの廃油を使っているところが多かったように思う。それでも十分だった。

宿で泊まるとき、自転車は部屋に入れられるときは室内に、外に置く場合は、必ず建物などにくくりつける。なるべく外から見えないところに置くなど気をつけた。どんなに注意していても、盗られてしまうときは、盗られてしまうのだろうが、ロックをこまめにする心がけは、気を引き締める日々のアクセントにもなっていた。

自転車だとトラブルに巻き込まれやすいのでは?と思われがちだが、ぼくの印象ではバスなどで移動するよりもトラブルは少ないのではないかと思う。人とのトラブルで一番多いのは、おそらく客引きとのいざこざだろう。彼らは観光客が訪れる駅やバスターミナルにたむろしていることが多い。駅やバスから出てきたツーリストめがけて声をかけてくる。すべての人が悪いわけではないけれど、ババをひいてしまうこともあるのだ。そうすると、金額以上に気分の悪さが後を引いてしまう。自分自身、何度も経験したことだ。自転車はそういうトラブルが少ない。駅やバスターミナルが町の玄関口だとすると、自転車は勝手口から勝手に町に入っていくようなもの。玄関で待ち構える彼らに合わずに、そのまま宿へと向かえてしまう。みんなと同じ動きをするほうが安全なような気がするが、同時に標的にもなりやすい。同じ行動をしないと相手のパターンに入らないから、トラブルになりにくい。そんなことをいままでの旅では感じている。

自転車に乗っていて思うのは、走行スピードと見える景色の相性がとてもいいこと。車では見逃してしまう風景や出来事も、自転車なら拾えるし、ストップ、Uターンも簡単。入っていけない道も少ないし、寄り道もできる。歩きだと背負える重量に限度があるが、自転車は背負う以上の荷物を運ぶこともできる。悪路や坂道が続くときは、なんで自転車やねん!と思ってしまうが、そこを抜けてしまえば、やっぱり自転車がいいよなぁと思っている。旅先では守るものが少ないことにこしたことはない。バンドエイド1枚でも少ないほうがいい。ものが増えると、動きが鈍くなるし、守るものが増えると、一歩が出せなくなってしまう。その荷物と機動性のバランスのよさも、自転車の魅力。旅のスタイルを決めこむことはしたくないだけど、移動の選択肢として自転車は、ぼくには合っていると思っている。

朝日をお出迎え
前がカメラバッグ、後ろはカヌー用防水バッグをゴミ袋でカムフラージュ
暑かった東海岸の道
早朝、出発前。泊まっていた部屋の前で
エレファントロードで野生のゾウと
ハットン駅にて列車を待つ
仕事を終えて帰宅途中のおばさんと
荷物を宿において茶畑の道を走った。終日雨だった

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