昨晩、ベトナム最北の山岳地帯ハザンから
雨のハノイに戻ってきた。
ハノイは一昨日から雨が降り続いているそうだ。
昨晩も雨は上がらず一夜明けた今も
まだ雨は降り続いている。
空のどこにこんなに水分があるのかと
思ってしまう。

ハノイからハザンはバスで7時間程度。
スリーピングバスという東南アジア独特の
冷房のガンガンに効いた車内で
毛布にすっぽりくるまって移動する。

ハザン省の中心の町、
ハザンのゲストハウスで1泊。
翌日110ccのセミオートマ(カブと同じ)の
バイクを借りて3泊4日の旅が始まった。

こちらのレンタルバイクは、
ガソリンが空から始まる。
出発して最初にすることは給油。
満タン2リットル入れてもらって出発。

走り始めると、町を抜け山を登りはじめる。
ハノイまで自転車で走ってきたときは、
坂を見るたびに、この坂はどこまで続くのかと
気合を入れつつ思っていたけれど、
バイクは坂でもスイスイ登ってくれる。
しかも、ぼくの息はきれず、
滝のような汗も流れてこない。
快適とは、こういうことかと
風に吹かれながら感じる。

峠を登り下り、また上る。
そして下ってまた登る。
これを繰り返していくと
雄大な景色が現れてくるのだ。

麓からの立ち上がりが崖のような山々に
周りを囲まれる。
顎を引いて麓を見て、
首が痛くなるほど上に向いて頂上を見る。
そんな屹立した山々が連なり
横方向に広がり、
奥へ奥へと展開していく。

ここがベトナムなのか。
ハノイまでとは全然違う風景のなかに
体が吸い込まれていくようだ。

ハノイまではめったに見なかった
歩いている人も目立つようになる。
オリジナルの衣装をまとまった
少数民族の人たちだ。

きつい坂を重い荷物を背負って登っていく。
その横をぼくはバイクで
別世界の人のように追い越していく。
バイクでツーリングしている人のほとんどが欧米人。

山岳地帯でも南部側は、美しい棚田が広がる。
峻険な山の斜面にも
生きる強さを感じさせるような棚田が作られている。
少ない平地のなかで、いかに耕地面積を稼ぐか。
その答えが急斜面を整然とした緑を敷いたような
棚田の風景だ。

さらに北上し高度をあげていくと、
田んぼは姿を消し
荒々しい岩肌がむき出しのエリアに入る。
ここにも人々の暮らしはある。
岩にしか見えない斜面に、
褐色の雑草が広がる。なんだろうと見ていると
それがトウモロコシ栽培の場所。

岩と岩のわずかな隙間に土がある。
そこを耕しトウモロコシを育てているのだ。
今は収穫の時期。
背中にカゴを背負った女性たちが
素足につっかけで斜面を登っていく。

そのなかには、4〜5歳くらいの小さな子供もいる。
小さなカゴを背中に背負って
お姉ちゃんやお母さん、おばちゃんたちに混じって
一緒に登る。
大人たちと同じことができるのがうれしいのか
はしゃいでいる子もいる。

小さい頃から親の仕事を手伝い
歳を重ねるとともに立派な働き手なっていく。

子供が働く姿は、トウモロコシの収穫だけではない。
牛の餌となる草を自分の姿が隠れるくらい背負い
前かがみになり、後ろにひっぱらそうな重みに耐えながら
歩いている子、薪にするのか雑木のようなものを
背負っている子も見かけた。

小さな子供が乳飲み子のような小さな兄弟を
背中におぶって遊んでいる姿もあった。

そんな子供たちの姿を見るたびに
いたたまれない気持ちと少さな感動のなかで
心を大きく揺らしながらぼくはその姿を見ている。
そして、自分の欲求を満たせば
彼女たちの小さな小さな一歩を無視するかのように
バイクに乗ってすっとんでいく。

ぼくの母から聞いた昭和初期の農村の風景は
こんなだったのだろうか。

昭和初期のころは、どこにいっても
多少の差こそあれ、そのような風景が地方には
広がっていたのではないだろうか。

しかし、今ぼくが見ているハザン地域には
昭和初期の風景と
現代のテクノロジーに満ちた世界が混在している。

同じベトナム人であっても、
バイクで彼らの横を猛スピードで通りすぎていく人がいるし、
そのバイクを追い越していく車もいる。
そして、ぼくらのような旅行者もいる。
同じ道の上に別世界のものがいる。
お互いにとってお互いは非日常の存在だけど
そこに住む人たちは、その一歩一歩が日常だ。

こうしてハノイの宿でブログを書いている今
雨の中、彼女たちはトウモロコシを収穫しているのだろうか。
牛の餌となる草を刈り背負って歩いているのだろうか。
雨に濡れながら山道を歩いているのだろうか。
冷房の聞いた快適な部屋のなかで
厳しい環境のなかでに生きる彼女たちに思いをはせる。
ベトナムの南部ホーチミン市から
自転車で旅をしながら、
今回の旅はどのように終わっていくのか考えていた。
終わりが見えないまま、帰国とともに終わるのではないか、
そんなことも想定していたが
ハザンのバイクトリップは旅の終わりを
告げてくれるものとなった。
明後日、日本に帰国する。
終わりは、始まり。だけど
ハザンで出会った人々からもらった
無言のメッセージの意味を問うことは
これからも続くことになりそうだ。
クアンバの市場。いろんな民族衣装を纏った人々が見られる
食べ物である前に生き物である。そのことをベトナムの市場は教えてくれる。
人々の日常の営みがアートに見えてくる。
早朝に出会った少女。何時に起きてどこまで草を刈りに行っていたのだろうか。
授業が終わって学校前でたたずむモン族の少年たち。
笑顔の素敵なおばちゃん。モン族かザオ族か、他の民族かな。
トウモロコシの収穫。日本のような柔らかいものでなくかなり固そうだ。山な急な岩場でも栽培している。
日の出と日の入りは世界どこにいても格別な時間。沈んでいった太陽が反対側から昇ってくるその間、太陽はどんな旅をしているのだろうか。
—–
今回、ハザンの旅をするにあたって
すごくチカラになってくれたのが、
ハノイにある日本人宿「ハッピーハウス」。
ハザンは欧米人には人気が出てきているが、
日本人で訪れた人はまだまだ少ないようだ。
そのため、日本語の情報が少ない。
ハッピーハウス」のオーナーさんは
本当に親切。
実際にハザンに行かれたことが何度かあり
宿泊客をハザンへと誘う情報を丁寧に与えてくれる。ハノイからハザンへの行き方。
ハッピーハウスからだと
市内を走る34番のバスでミーディンバスターミナルへ。
そこで、ハザン行きのバスチケットを買うのだが、
バス会社がたくさんある。観光客の場合、一番早く出発するバスが割り振られるが、
ハザンについたときに目指す「ボンホステル」の前まで
行ってくれるバス会社は「Quang Nghi」だと教えてもらった。
8:00出発→15時ごろハザン到着のスリーピングバス。
乗り込む際に「Bong Ha Giang Hostel 」に
行きたいことを告げる(これ非常に大切!)と
一発で了解!というジェスチャーが返ってきた。
途中ランチ休憩が一度だけある。それ以外は基本的には
休憩がないので水分摂取は控えたほうがいいかもしれない。

ハザンに着くと、ボンホステルの斜め前で下ろしてもらえた。

ボンホステルでは、バイクが借りられる。
バイクは1日15万〜60万ドン(750〜3000円)。
ぼくはホンダの110ccのバイクを(15万ドン/日)借りた。
これで十分。
10万ドン×4日=40万ドン
保険(多分車両保険)が10万ドン/日×4日
そして、デポジットが50万ドン
全部で150万ドン(7,500円)
デポジットはバイクを返却すれば
戻ってくるので、実質100万ドン。
レンタルバイク屋で借りると、
パスポートを預けるか、
デポジットが3万円ほど必要だと聞くが、
ボンホステルは、パスポートを預けることもなく
50万ドンのデポジットで借りられた。
出発の際も、荷物を100リットル以上ある
大きなナイロン袋に入れてくれて
パッキングからバイクへのくくりつけなど

スタッフがすべてやってくれた。

ぼくは途中転倒し、右のバックミラーを
壊しボディにも傷がついた。
だけど、保険の適用範囲だったのか
これくらい大丈夫!問題ないさ〜と
追加料金は徴収されなかった。
(保険は任意だけど入っておいてね)

ここのボンホステルのホスピタリティも完璧で
スタッフが明るくてとても親切。

頼りになる人たちだ。

ボンホステルの予約も「ハッピーハウス」が
やってくれるから、とても楽チンで安心。

観光ずれしてしまったサパをやめて
ハザンに行きたい!と考えている人は
まず「ハッピーハウス」に連絡するのが懸命。
情報だけでももらえるそうだ。
オーナーさんが丁寧にいろいろと教えてくれます。
ドミ6ドルで泊まるとゆっくりと話も聞けるので
泊まるのがおすすめ。

2件のフィードバック

  1. はっぴーはうすです。
    はっぴーはうすについて、とっても詳しく、そして【良く】書いてくださってありがとうございます♪
    最後は、私がハザンに行っていて(今、います)、お会いできずごめんなさい。

    実際のお話は直接聞けなかったけれども、このブログでハザン旅行の様子が感じられました。

    1. こんにちは!無事日本に帰国しました!
      ハッピーハウスでは本当にお世話になりました。
      ざわわさんがハザンに行かれていたときに、
      二人のスタッフさんには本当によくしてもらいました。
      話しもいろいろできて本当によかったです。
      またハノイに行くことがあればよろしくお願いします!
      ハッピーハウスがハザンの日本語情報基地になるように
      たくさん情報アップしてください!
      ありがとうございました!

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