ホテルのカーテンを開けると快晴!

 快晴の朝

6:00にアラームなしで
パッと目覚めた。
まずは体を起こすために
シャワーを浴びる。

野宿だと冷えたね〜と
自分の体を動かして
体を温めていくが、
ホテルはシャワーで
気持ちよく目覚められる。

カーテンを開けると、快晴。
ヨッシャー!

テントも寝袋もからっからに
乾いている。
寝袋にいたっては、ふんわりして
小さく畳むのがいつもより大変だ。
いい感じ。

リヤカーを引っ張り出してきて、
荷物を積んで完了!
いざ浜松駅前へ。

途中でコンビニに立ち寄り、
イートインでコーヒーとパンで朝食。
土曜日の朝は、街中のコンビニも
ゆっくりしている。

今日は忙しくなるだろうと
昼食分のパンやおにぎりも買い込んだ。
いい感じ!
足取りも軽く浜松駅を目指した。

 

カオスな駅前広場

駅前に着くと、なぜか警察官だらけ。
どんだけ人いるんですかという数。
事件か?と一瞬思ったが、
そんな緊迫した雰囲気でもない。
様子をうかがっていると
警察やら街の防犯関連の人たちの
歳末に向けたイベントだった。
100人以上の人たちが集まった
朝の大集会だ。

お偉いさんと思われる人たちが
代わる代わる挨拶している。

これまで路上販売をしていて
おまわりさんが前を通ったことは
何度もあるが、注意されたことは一度もない。

だから、大丈夫かなと思いつつも、
これだけおまわりさんがいると
気が引けてしまう。

どうしたものかと眺めていたら、
ほどなくして集会は終わった。
いつくかのグループに別れて街を練り歩くのか、
ぞろぞろと、四方に歩き始めていなくなった。

よかった〜

早速準備を始めると、
彼らと入れ替わるように、
その場所で何かをしようとする人たちが増えてくる。
もしかして、ぼくと同じように
おまわりさんたちの集会が終わるのを待っていたのか。

それぞれ準備が始まり、第一声を上げ始める。
阿部さん辞めろと演説を始める集団。

その横に、一人で支離滅裂な論調でアジる
40代(と思われる)女性。

ワンコ関連の募金を集める人たち。

そして、焼き芋屋のようなカレー屋のような
風来坊のカレンダー売りもいる。

しばらくすると、
消防署員が、職員募集を呼びかけるために
ぞろぞろとやってくる。

こんなカオスのなかで
歳末募金運動をしている健気な女子高生たち。

この駅前一帯は何なんだ。

聞いてくれ!寄付してくれ!買ってくれ!と
マイクを持ち、声を張り上げ、ビラを配る。
彼らを煽るように、
今日も遠州の空っ風が吹き荒れる。

そんなところで足を止める人などいない。

こまめに場所を変えるがヒットがない。

一番最初に声をかけてくれたのは、
東京から浜松の友達に会いに来たという女性だった。
今から東京に帰るらしいが、
昨日の夜に散財してお金がないらしい。
カレンダーは買えないけどと
お茶とパンの差し入れてもらった。
ありがたい!

この流れにのって、
どうぞ足を止めてください!と
思っていたがそのあとが続かない。

そんなときに
ぼくと同世代とおぼしき男性が
近づいてきて
カレンダーを1部ください!と
買ってくれたのだ。

なぜ買ってくれたのですかと
思い切って聞いてみた。
「朝からずっといるし
がんばってるなぁと応援したくなったから」
そんな彼は
値段も聞かずに買ってくれたのだ。
男やなぁ〜と。
ぼくもこんなことができる人にならないと
そんな気持ちにさせてもらえた。

その数十分後、学生時代に
カミーノを自転車で走ったという若い男性が
足をとめてくれた。

彼は、宿泊の半分はアルベルケ(巡礼者の宿)、
あと半分をカウチサーフィンしたそうだ。
カウチサーフィンとは、
海外からのゲストを
無料で自宅に宿泊させる
世界規模のネットコミュニティ。

欧州や北米、豪では結構普及しているようで
カウチサーフィンしたという話を
たまに聞いていたが、
カミーノでそれをしている人は初めて聞いた。

スペインのアルベルケも
ホテルと比べるとかなり安いが
無料には勝てない。
ただ、巡礼道沿いにあるわけではなく
外れたところが多いから
自転車でないと厳しいだろうと
彼は言っていた。

あのときのことを思い出して
元気がでてきました!と
カレンダーを買っていってくれた。

よし!立て続けに買ってもらった
この波をサーフィンするぞ!と
意気込んだが、またここからパタリと
波が捕まられなくなった。

このまま時間はすぎて、
騒がしかった人々も
だんだんといなくなる。
日も落ちてきた。

はままつぅ〜

ちょっと誤算やった。
いやだいぶ誤算やったわ〜
と、ビルの隙間を赤く染める
西日を見ながら思う。

この旅は、カレンダーを販売することだけが
目的ではない。
いろいろな人との出会いを楽しむことも
もうひとつの大きな目的だ。

だけど、浜松では売れてほしかった。
藤枝あたりから、浜松はフィーバーするよ!と
根拠のない皮算用をしていた。
ぼくの勝手な思い込みや期待が
大きすぎただけのことだ。

身の丈を知れ!と
天から言われているようだった。
2人も買ってもらったのだ。
その人たちの気持ちを胸に
浜松に別れを告げることにした。

ラッキーセブン

もうすでに暗くなっていたが、
今日は、ここから西へ13キロほど歩くことになる。
予定では明日、豊橋に着きたい。
浜松からだと38キロほどになる。
これはきつい。
ということで、今から13キロほど歩いて
浜名湖あたりでテントが張れる場所を探す。

夜歩くのは、何度目か。
歩道のない道は怖い。
しかも土曜日の夜。
飲酒運転もないわけではない。
突っ込まれた終わりだ。

警備員さんが手に持っている
フラッシュする誘導灯を
リヤカーの後ろで点滅させる。
頭にはヘッドライト。
ノボリも一番上まであげた。

ぼくがここにいることを
行き交う車になるべく早く認識してもらうためだ。

街を外れると街灯も少なくなる。
夜道を黙々と歩く。
今日の浜松でのことを忘れるくらいに
汗をかきながら浜名湖畔を目指す。
グーグルで目星をつけた場所まで
あと1〜2kmというあたりの
ドラッグストアの横を歩いていると
女性に声をかけられた。

「今日、浜松駅前でカレンダー売っていた人でしょ。
私何回か前を通りました!」
「そうですか!ありがとうざいます!」と
話し始めると、
ちょっと待っててと
車からりんごを抱えて戻ってこられた。
「食べて」とリヤカーの上に置かれたのは
りんごだった。
「7つでラッキー7。あなたに会えてラッキーだわ」
って言っていただいた。
もうサイコー!
今日の最後にこんなサプライズが
待っていたとは。
早速かじりながら歩く。

美味い。
気持ちが入っているから
なおさら美味いのだ。

暗かった夜道が
なんだか明るく見える。
気持ちが上向くと
視界は明るくなるものだ。

浜名湖あたりに着く。
旅館やホテルがある。
湖岸に出ると風はきついだろうなぁと思いつつ
旅館の間の道を抜け湖岸にたどり着く。

海の家じゃないけど、
大規模な休憩用の常設テントがあったから
そこの下に場所を確保できた。

備え付けの木製のテーブルセットに
テントをくっつけるようにして
風でばたつくのを抑えた。

りんごをかじりながら、
ビールを飲む。
さすがに冷えるので
ペタペタとカイロを貼りまくる。
そして寝袋に素早く潜りこんだ。

時折突風がテントを猛烈に叩くが
寝袋のなかは天国のように暖かい。

りんごのおかげで
今日も気持ちよく終わることができた!
ありがとう
ラッキーヘブン!

7つのりんごを差し入れしてもらった
風はきつかったが、水をみると、なぜかココロが和む。

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