すぐそこが水深500mの深海

朝4:30に目覚めた。
まだ真っ暗だが、どうやら散歩をしている人がいるようだ。
落葉樹の林のなかにテントを立てていたから
落ち葉を踏む音がカサカサと響く。
それが気になって起きてしまったのだ。
朝が早いのは嫌いじゃないので
起きることにした。

さっさと身支度を整えテントを撤収。
今日目指すのは富士駅前。
途中までは海沿いに伸びる遊歩道を歩く。
西を向いて歩くと、左手に海が、
右手に富士山が見える。
贅沢な景色だ。

朝日を浴びて起き出す富士山。
等間隔で並ぶ釣り人。ここが駿河湾の一番奥。
日輪が。

沖はもう水深500m以下の世界。水平線のあたりは2500mくらいあるのだろうか。
朝の富士山もいいけど、日がのぼった後の富士山も素晴らしい。

この海は駿河湾。
深海魚が獲れることでも有名なところだ。
海辺から少し沖いくと海の色が濃くなっている。
きっと、あそこから深海へと誘われていく滑り台が
始まっているのではないか。

海岸から約2キロで水深500m。
駿河湾の一番深いところは水深2,500mだそうだ。
想像がつきにくいが、標高2,500mの山を
下ることを考えると多少イメージしやすいかもしれない。

なぜこんなに深い海の溝が目と鼻の先に
広がっているのか。
駿河湾は、3つのプレートが交わっている特異な場所。
その1つ、海側のフィリピン海プレートが、
本州側のユーラシアプレートプレートの
下に潜り込んでいっているからだ。

そもそもプレートとは何か。
ぼくの幼稚園児のような知識でいうと
地球の表面はパズルのように
いくつかのピースでできている。

そのピースのことをプレートと呼んでいる。
ただ、パズルのピースと違うのは、
その形が常に変化し続けていること。
地球の深い所からプレートが生まれてくる所もあれば
深くに潜りこんで消えていく所もある。

駿河湾はプレートが潜りこんでいく所だから
海の底に深い溝ができる、ということのようだ。

富士山が海からそびえ立つように凛々しいのは
プレートの動きに関係しているのだろう。

富士にお住いのルタさんに聞いたが、
富士市民は、ぐらっときたら
地震よりも富士山の噴火を心配するそうだ。
そして、富士市民が富士山を書くと、
必ず宝永山を描くらしい。
富士市民あるあるだ。

下の写真は、ジュエリーデザイナーの伊藤さんに
リヤカーに描いてもらったイラスト。
なるほど、右側の稜線が少し膨らんでいる。
これが富士市民の証だそう。

ゲストハウスNASUBIで荷物を下ろしていたら声をかけてもらった。テレビ出てたでしょ!と。まだ、出てないんですけど。

 

カミーノは夢で終わらせる場所じゃない。

海を見ながら気持ちをよく歩く。
朝日を拝むこともできた。
車は通らないし、道幅も快適。
富士山を見て、海を見る。
そしてまた富士山を見る。
途中までそんな道を歩いていたから
気分もいい。

吉原駅が見えてきた。
お腹がすいたのでコンビニを探すと
地元のスーパーがあった。
スーパーなかむら。
リヤカーを止めて店内に入る。
海が近いだけに、魚介類が充実している。
惣菜コーナーもいろんな魚の天ぷらが
売られている。
うまそうだ。

天ぷらを幾つか買ってお店を出た。
すると、おばさんが寄ってきて、
「巡礼されたの?」と尋ねられた。
奥さんはカトリック信者だそうだ。
「いつかは行きたいと思っていたけど
もうこの歳になっちゃった。
私はもういけないけど、
カレンダーを見せてもらって
行った気分にさせてもらうわ」と
買っていただいた。

今回のようなことが何度かあった。
カミーノには行きたかったけど
もう行けないから、
カレンダーを見て行った気分になります。
と買っていただくのだ。

買っていただくのはありがたいけれど
気持ちは複雑だ。

行ってみるとわかるが
カミーノ巡礼はリタイヤされた方が多い。
健脚な人ばかりではない。
でも、皆さん歩いている。

一度に歩かず、何度かに分けて歩く人も多い。
荷物を次の宿まで運んでくれるサービスを使って
ウエストポーチひとつで歩いている人もいる。
ついでに自分を運んでもらう人だって少なくない。
そして滞在費がとにかく安い。

家庭の事情などいろいろあるだろうけど
歩こうと思えば何か方法があるというのが
カミーノという場所。

もし行きたいなぁと思う気持ちがあるなら
調べてみたほうがいい。
行った人の話を聞いたほうがいい。
自分の夢を夢で終わらせないでほしい。

 

お店ココロハチマキ、初の休業日

富士駅に到着した。
が、しかし、人がいない。
駅の北側も南側も行ってみたがやはり同じ。

今日もルタさんがやってきてくれた。
一緒に商店街を歩いてみたが閑散としている。

ルタさんに聞くと、郊外にできた
イオンにお客さんは流れてしまったそうだ。
イオンには、道中、備品の買い出しで寄っていた。
たしかに、駐車場は車でにぎやかだった。

だからといって、イオンの駐車場で
販売できるわけでもなく。
どうしようか。

よし決めた。
今日はお店ココロハチマキは休業。
この旅ではじめてだけど、
今日は早めに休もう。

明日、富士から清水まで
ルタさんが一緒に歩いてくれるという。

つまならない道が楽しくなりそうだ。
ありがたい。
時間と集合場所を決めて別れた。

 

オススメ!ゲストハウスNASUBI。

以前、富士で泊まるなら
ゲストハウスNASUBIがいいと
ルタさんに教えてもらっていた。

だから、昨日、booking.comで予約しておいた。
2日間野宿したから、シャワーも浴びたい、
洗濯もしたい。
暖かい部屋でゆっくり寝たい。

到着すると、
ドレッドヘアのオーナーかずくんが
出迎えてくれた。

見た目と違って物腰がやわらか。
来てくれたことを喜んでもらっているのがわかる。
先に、マレーシアの若者たち5〜6名が入っていた。
彼らのなかで寝るのか。と思ったら、
かずくんが別の部屋をすすめてくれた。
彼らは連泊しているようで、
かなり騒がしく、ゆっくり休めないだろうから
とうれしい配慮。

シャワーを浴びて、洗濯機で洗濯。
そして乾燥機を使う。
あっという間にできあがり!
ありがたいことだ。

夕方になると、彼らはお祈りをしている。
イスラム教徒なのだ。

若い人が日本に来ても、
きちっとお祈りをしていることが
見ていて心地よかった。

信じるものがあると人は強くなれる。
彼らは、誰かのためじゃなく
自分のために祈っているのだろう。

ゲストハウスは、やはりインターナショナルだ。
この雰囲気がいい。

彼らの会話も笑い声も聞こえてくる。
しかし、疲れがたまっていたぼくにとっては
子守唄のようだ。

まだ早い時間なのに
操り人形の糸が切れたように
クシュンとなって
眠りにおちていった。

オーナーのかずくん

勝手に宣伝部長!

ゲストハウスNASUBI
ドミトリー1泊:2,800円
個室あり(和室)
シャワー2室
キッチン
洗濯機+乾燥機:400円

ホスピタリティ最高です!

富士山に登るならここいいかも~

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