ぐっすり眠った。
アラームの2分前、5:58に目がバチっと目覚める。
頭もすっきり。
ヨッシャー!と起きるが外は雨。

昨日のFacebookで10時ごろ日本橋到着と
投稿していたから、まだ時間はある。

雨だし、もう一寝入りするか、と一瞬思ったが、
何を寝ぼけたことを〜と思い直し、準備を始めた。
荷づくりをして、ロビーに降りていく。
囲炉裏では朝食用のアジの干物を
スタッフが焼いている。
その臭いが朝から食欲をそそるのだ。

残念ながら素泊まりだったので、
コーヒーを沸かして、
前日買っていたパンで朝を済ませた。
その後も外を見ながら飲み物をおかわり。
しかし、雨は一向に止む気配がない。

仕方がないので、
リヤカーを奥のバックヤードから
外に引き出すことにした。
リヤカーが荷物をかきわけロビーを移動する。
宿泊している人も、なんのこっちゃ、である。

リヤカーに載せる木のボックスは
雨対策でペンキを3重に塗っていたから、
フッ素加工のフライパンほどではないけれど
きれいに水をはじいている。

しょっぱなから、雨でごめんよ。

実は、この日初めてすべての荷物をいれたが
思った以上にパンパンだ!
適当に入れ込んだのではとても収まらない。
それくらいに荷物が多かった。
準備不足丸出しだ。

ゲストハウスのスタッフさんに声をかけて
出発前の写真を撮ってもらう。
「これから大阪っすよね!
がんばってください!」と
傘もささずに見送ってくれるスタッフさんに
手を振りながら、
ゲストハウスIRORIを目指し出発した。

雨のなかゲストIRORIを出発!

 

さぁ始まるよ〜
ワクワクしてきた。
全然土地勘のない東京で
リヤカー引いて歩いている。
これがおかしくてしょうがない。

ぼくの旅の基本は、その土地に馴染む。だ。

全く土地勘がないのに、
道を尋ねられたりするとうれしくなる。
地元の人と間違えられるってことは、
よそ者の雰囲気を消しているってこと。
消しているんじゃないな。出ていないのだ。

今回のリヤカーの旅では、
旅してます!というのが
前面に出ているにもかかわらず、
駅前で販売していると、ありがたいことに
何度も尋ねられた。

その度にニヤニヤしながら、
「ゴメンなさい。旅をしているもので
地元ではないのです」と
答えるが楽しかった。
雰囲気に馴染む。
ぼくのちょっとした特技かもしれないな。

google mapを見ていると
次第に日本橋に近づいていくのが確認できる。

しっかりとした雨が降り続いているが、
そんなことよりも、
どんどん心配になってきていることがあった。

誰か来てくれるのだろうか。
道行く人が足を止めてくれるだろうのか。
リアルな心配だ。

東京の人は冷たいと聞くし、
初日から販売ゼロってあるのか。
あるか。あるわなぁ。
最悪も考えておかないと。

そんなことを考えつつ歩いていると
景色は大都会の様相に。
そして日本橋が見えてきた。

来たぞ!日本橋!
始まるぞ!東海道!

厳しいかもよ!日本橋!
コテンパンかもよ!東京!

そんなことを思いながら、
日本橋の上でリヤカーを下ろした。

着いてもたわ〜
そう思うや否や男性の声が。

「はじめまして!石田といいます。
facebookを見て来ました」

「え〜〜〜〜〜!」
到着してわずか1分の出来事だ。
びっくりしないわけがない。

記念すべき第一号。

日本橋の周辺でぼくが来るのを
待っていただいていたようだ。

聞くと、ぼくが新卒で入った会社の同期が
FBで紹介してくれたようで、
そのつながりで、わざわざ休日に
日本橋まで来ていただいた。

あまりにうれして涙が出そうだった。
いや、出ていたかもしれない。

石田さんには、話し相手になってもらい
まだレイアウトが定まっていない開店準備を
気長に手伝ってもらった。

涙が出るほどうれしかった記念すべき第1号。石田さん。忘れられない出会いになりました。

 

その後もちらほらとFBで見たよ〜と
来ていただく。
FB上で友達になっている方もいるが、
多くはカミーノ(サンティアゴ巡礼道)
つながりだ。

すでに歩いた人、これから歩く人、
数年かけて、休暇の度に区切りつけながら
歩いている人、
いろんな人に来てもらうが
ほとんどが初対面。
初対面ですよ。

その人たちがぼくのために土産を持って
わざわざカレンダーを買いに来てもらえる。
東京、横浜、埼玉、千葉、遠くは茨城からも。
信じられなかった。

午後になると、午前の部と入れ替わるように
買いに来てくれる人がやってくる。
何をやっているのだと、通行人の足も止まる。

「面白いことやってるね〜」
「ぼく今感動しています!』
いろんなことを言いながら
買っていただけるのだ。

これは夢か。

そして、昼ごろから来てくれている何人かは
帰らず脇にいてくれている。
聞くと、今日一緒に品川まで
歩いてくれるというじゃないか。
全く予想していないないことが起こっている。

これは幻か。

東京の人は冷たいとか聞いていたけど、
この状況からそれを想像するのは難しい。

午後3時の時点で日本橋での販売は終了。
これから品川に向けて歩くことになる。

数年前に大阪のイベントで出会って以来のつながり。
神戸の自宅から区切り打ちで東海道を歩いて来られた。ぼくのスタートがフィニッシュになった。
がんばってカミーノの説明をしています。
雨が止んだ。霞むその先に向けてこの道を品川に向けて歩いていく。

 

ぼくは、その道など全くわかっていないけど
なんと7人も人が一緒に歩いてくれるのだ。

ただ、確かなことは、東京のど真ん中を
これから歩くことになる。
しかもリヤカーと一緒に。

歩き始めると、無関心を装う東京の人たちも
チラチラとこちらを見ている。
声をかけてくれて、一緒に歩いてくれた人も。
やがて歩行者天国にたどり着く。

「やまさん、ここ銀座」
「え〜、ここが銀座か!』
50歳にして、人生初銀座。しかもリヤカーと。
東京のど真ん中に
カレンダー行商の旅!のノボリを立てて
おのぼりさん参上だ。

このときの浮ついた気持ちのなかで、
思ったことがあった。

ココロのどこかにまだ残っていた
リヤカーを引いて歩くことへの恥ずかしさ。
この銀座の風景と人混みが示してくれたものは
その気持ちとの決別のセレモニーだったように思う。

これから東海道を歩いていくうえで、
その洗礼を初日に受けられたのはよかった。
腹が決まったような感覚だ。

7人の混成メンバーが一緒に歩いてくれています。
人生初!銀座。ココロの片隅にまだ残っていた恥ずかしさが吹っ切れた場所でもありました。

一緒に品川まで歩いてくれている人たちと。男前な奈美さんは一番左の方。

7人と一緒に品川に着いたときは
18時を過ぎていた。

遠くから来ていただいた二人とはここで別れ、
あとの5人がラーメンをご馳走してくれることに。

そこで、初対面の奈美さんから
リクエストがあった。
「カレンダー預かります。私カレンダー売ります!」
この日何度か目のサプライズ。
全く想定していなかったことだったから、
本当に驚いた。

めちゃくちゃうれしい。
申し出てもらったその気持ちだけでもう十分。
ココロはいっぱいだ。

と同時に、ぼくがその立場なら
ここまでのことができるだろうか。
そう考えると、初対面の奈美さんのリクエストが
いかに人並み外れたことかがわかる。

できないよな〜こんなこと。
ってことができる男前な人に会ってしまったのだ。

奈美さんは、カバンから袋を取り出し
入るだけのカレンダーを預かってくれた。

ココロハチマキカレンダー東京代理店が
開店した瞬間だった。

品川駅前にて。

 

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